Newsletter vol.41 社長を辞めると何が起こったか②
長沼 恒雄
読者の皆さまの中には、ゴルフを楽しまれている方も多いと思います。私はというと、ゴルフが自分でも嫌になるくらい下手で、20代のころには一生懸命取り組み、プロの方に教わったこともありましたが、なかなか上達しませんでした。そのうちにゴルフ自体を避けるようになり、誘われることも減って、まったくプレーしなくなっていました。ところが4年ほど前、思いがけない形でゴルフがまた私の前にやってきました。当時、私は加東市商工会の副会長を務めており、そのご縁で「加東市ゴルフ協会」の副会長に就任することになったのです。
加東市には16のゴルフ場があり、「ゴルフのまち」です。私が副会長になった時期は協会の転換期で、取り組むべき課題も多くありました。協会の主な活動は、①市民ゴルフ大会の開催、②ゴルフ場への誘客、③ジュニアゴルファーの育成事業の3つです。私は1年ほどかけてそれぞれの活動現場を見てまわり、近隣のゴルフ協会にも伺いながら、運営の工夫などを学んでいきました。長年続く加東市ゴルフ協会には、先輩方が積み重ねてこられた大切な資産があります。その一方で、運営の仕組みには改善すべき課題も見えていました。メンバーはゴルフ場の支配人、市役所職員、商工会理事、観光協会職員、地域ボランティアの方など幅広く、皆さん本業を抱えているため、協会の課題へ十分に取り組む時間が取りにくい状況でした。私はちょうど社長職を退いたところで、少し時間に余裕が生まれていたため、課題に向き合う中心的な役割を担う決意をしました。
そこで協会の中に「ゴルフ協会活性化委員会」を立ち上げ、私が委員長として1年かけて改革案をまとめ、理事会に提案していく形で進めました。ここでは詳しい内容は控えますが、一番難しかったのは、立場の違うメンバーの皆さんと意見を調整していくことでした。長く民間企業の経営に携わってきた私にとって、まったく異なる文化やペースで進む場面もあり、苦労も多くありましたが、結果的に自分自身の成長につながる貴重な経験になりました。ここからは、実際に行った改革の一例をご紹介します。ゴルファーが減少する7〜9月の3か月間に、加東市内の異なる3つのゴルフ場でプレーしてスタンプを集めると、割引券が当たる「ゴルフ場スタンプラリー」を毎年開催しています。3年前までは紙の台紙でスタンプを集める方法だったため、関係者の事務作業がとても大変でした。今年は「楽天GORA」と連携し、台紙はスマートフォン、スタンプはQRコードに切り替えて完全にデジタル化しました。その結果、事務負担が大きく減ったうえ、参加者の地域や年齢層などのデータが自動的に蓄積され、統計も簡単にとれるようになりました。
ジュニアゴルフレッスンでも同じように改革を進めました。3年前までは、事前に2か月分の練習日カレンダーをジュニアに郵送し、参加希望日に○をつけて返送してもらうという方法でした。これをGoogleフォームに変え、練習日が近づいたタイミングでスマートフォンから申し込んでもらうにしました。また、コーチへの連絡や練習のフィードバックなどもデータと連携することでスムーズに行えるようにしました。ちなみに、この仕組みはボランティアの私が作ったので、外部費用は一切かかっていません。おかげさまで私自身もGoogleの様々なアプリを学ぶこともできました。この3年で、デジタル技術や外部企業の力を借りながら、協会の運営は大きく進化したと感じています。ただ、それを支えているのは、長年にわたり積み重ねてこられた先輩方の努力です。ちなみに、加東市ジュニアゴルフ大会・小学生男子の初代優勝者は、加東市出身の「蝉川泰果プロ」。今から13年前、小学5年生だった彼のスコアは72でした。
私は現在も事務局長として、協会事業の段取り役のような立場で活動を続けています。ときどき、「これはボランティアの域を超えているのでは…」と思うこともありますが、次の世代に引き継ぐことを意識しながら、頑張っています。協会の運営のためにゴルフ場へ行く機会は増えましたが、残念ながらいまでもゴルファーではなく、コースを歩いているだけです。
次回は、地元で行っている「子どもたちのロボットコンテスト」の取り組みについてお話ししたいと思います。
長沼 恒雄 (Tsuneo Naganuma)
株式会社アスカコネクト 取締役/博士(情報科学)・MBA
アスカカンパニー株式会社 代表取締役 兼 CTO
FAA Commercial Pilot

