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2024年11月18日 / 最終更新日時 : 2024年11月18日 wpmaster NEWSLETTER

Newsletter vol.28 論語と算盤とSDGs② <二宮尊徳>

豊島 敦

 『SDGs』と聞くと、何となく食傷気味というか、おなか一杯、はたまた何となくモヤっとした印象を持たれる方もおられるのではないだろうか。「いやいや、そんな事は決して言ってはいけない。これは全人類が目指すべきゴールなのだから、わが社のHPにもしっかり記載して、達成に向けて日々前向きに取り組んでいるはず。あれ?うちの目標は何だったかな?」こんな方も多いのではないか。

 SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)は、「人類にとってより良い持続可能な未来を達成するための青写真」とされており、そのために達成すべき17の目標が掲げられている。しかしながら、より良い豊かな未来社会を実現するための手段(気候変動対策やCO2排出量削減など)自体を目的化したビジネスが横行、製造業においては受注において厳しい制限を受け、現場への負担増加や生産性を低下させることもあり、自社にとってあまりサスティナブルではないSDGsにモヤモヤとした気持ちを抱かれる方も多いのではないかと思う。

 前回、「経済なき道徳は戯言、道徳なき経済は悪」という報徳思想の格言を紹介したが、この言でいうと、経済合理性や自社にとってのメリットのないCO2排出量削減目標(の押し付け)は戯言にすぎない、と言える。生産効率を高め、エネルギー消費量とCO2排出量が減った結果、コストも削減されるという経済的合理性が生まれるからこそ持続可能な取り組みとなる、というのが、まっとうなロジックではないだろうか。

 今回は、日本版SDGsともいえる報徳思想の祖、二宮尊徳(幼名金次郎)を紹介したい。薪拾いをしながら読書に励む金次郎像が各地の小学校に置かれたことから、勤勉・清貧のイメージを抱く方も多いだろう。二宮尊徳は、江戸後期(1787年)に小田原藩内の農家の長男として生まれた。度重なる自然災害や父の病気等もあり、実家は貧しく、幼少期から朝は山に柴刈りに、夜は縄で草履を編んで家計を支えた。14歳で父、16歳で母を相次いで亡くすと、幼い弟二人は母の実家に、尊徳は伯父に引きとられ、昼間は伯父の家業を手伝い、夜は勉学に励んだという。その努力もあって20歳で生家の再興に着手し、その後は地主・農場の経営を行いながら、小田原で武家奉公人としても勤め、至る所で農政と財政の立て直しを成功させた。自らの苦労を通じて得た知恵や経験を、世のため人のために還元した徹底した「現場主義」の人だと私は捉えている。

 実は尊徳の幼少期に関しては弟子による伝聞がほとんどで、その実態は分かっていない。ただ、貧しい環境から身を起こし、勤勉さと道徳的行動を頼みに、経済的な成功と世間からの評価を得たのは事実であろう。「清貧」というと、貧しい事が善のような印象を受けるが、好んで貧しく苦労したわけではなく、貧しさを脱却するには「勤勉」が最も有効な手段であったという事ではないだろうか。「道徳と経済の両立」とまとめたのは尊徳の弟子たちであるが、尊徳が書いた「報徳訓」からも、豊かになるという目的と、経済的合理性を重視していた事を窺い知ることができる。ここでは「報徳訓」の一節を紹介したい。(文末に全文を掲載)

 「身命の長養は衣食住の三にあり 衣食住の三は田畑山林にあり 田畑山林は人民の勤耕にあり」

 「長生きのためには衣食住が大切であり、衣食住には田畑山林が欠かせない。そして田畑山林は人々が勤勉に耕すことが大切である。」という内容である。道徳を振りかざし単に清貧、勤勉に働くことを求めた訳ではなく、現実的な三段論法で田畑を勤勉に耕すこと(=手段)は長生きをするため(=目的)と行動規範を示している点が興味深い。

 80年代の映画『ウォール街』の主人公、経営難の企業を乗っ取り利益を稼ぐファンド、いわゆるハゲタカファンドの代表ゲッコーは「強欲こそ善(Greed is Good)」と言い切った。資本主義の利益重視の考えが資本効率を高めたり、経営革新を促進するとして、ゲッコーが自身の行動を正当化した言葉である。映画では、労働階級からの搾取などファンドの負の側面も描かれており、今の時代に改めてこの映画を見る意義もあるのではないかと思う。最近では、ゲッコーのセリフをもじった「環境こそ金になる(Green is Green)」(Greenは俗語でドル紙幣を指す)という言葉があるようだ。見かけだおしの環境ビジネス、グリーンウオッシュ(環境によいという偽りのPR)などは、「道徳なき経済」である。お気をつけいただきたい。


「報徳訓」

父母根元在天地令命 身體根元在父母生育 子孫相贖在夫婦丹精 

父母富貴在祖先勤功 吾身富貴在父母積善 子孫富貴在自己勤労

身命長養在衣食住三 衣食住三在田畠山林 田畠山林在人民勤耕

今年衣食在昨年産業 来年衣食在今年艱難 年々歳々不可忘報徳

<書き下し文>

父母の根元は天地の令命にあり 身体の根元は父母の生育にあり 子孫の相続は夫婦の丹精にあり

父母の富貴は祖先の勤功にあり 吾身の富貴は父母の積善にあり 子孫の富貴は自己の勤労にあり

身命の長養は衣食住の三にあり 衣食住の三は田畑山林にあり  田畑山林は人民の勤耕にあり

今年の衣食は昨年の産業にあり 来年の衣食は今年の艱難にあり 年々歳々報徳を忘るべからず

引用:小田原市自治会総連合HP

https://odawara-jichisoren.net/global-image/units/upfiles/29527-1-20200527162749_b5ece1675cda23.pdf


<参考文献等>

・渋沢栄一 守屋淳訳 「論語と算盤」ちくま書房

・松沢成文 「教養として知っておきたい二宮尊徳」PHP出版

・報徳二宮神社 HP

・小田原市自治会総連合会 HP

豊島 敦 (Toyoshima Atsushi)

株式会社アスカコネクト 顧問

新卒で全国信用金庫連合会(現 信金中央金庫)に入庫、おもに投融資業務に携わる。1997年~2002年ニューヨーク支店にて、北米クレジット投融資、ストラクチャードファイナンス投資などを担当。その後、ニューヨーク駐在員事務所長、名古屋支店長、法人営業推進部長、中小企業金融推進部長を歴任。2021年理事に就任、2024年6月退任。現在は常勤の他、株式会社地域金融研究所 特別顧問、クオンタムリープベンチャーズ株式会社 アドバイザー、 及び Tranzax株式会社 顧問を務める。

W.P. Carey School of Business , MBA

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